脱獄は男のロマンである
突然ですが、俺は脱獄が好きだ。
たまにTVとかで脱獄の再現VTRなんかやると必ず見る。
何がいいかって、囚人が刑務所というあの限られた自由と物資の中でいかに知恵を絞って脱出を計画するかというのが非常に面白い。
漫画『こち亀』でも両さんが派出所内に作られた座敷牢に閉じ込められ、鉄製のスプーンを使ってトンネルを掘り、脱出する回があったがあのエピソードは少年ジャンプで読んだ当時は非常にワクワクしたものだ。
前回の投資の項でも書いたけど、管理人は心理戦というか知恵比べ的なモノが大好きで、脱獄というのは正に囚人と看守のだまし合いと言えます。
自由の身を夢見て気の遠くなるような努力をコツコツ重ねるというのもいいですね。他にやる事が無い状況で脱獄という目標が出来てからはひたすらそれに挑む…。
かくいう私も一度刑務所にブチ込まれて脱出してみたいという危ない妄想に取り付かれたこともあります。
こんな思いもあって脱獄に関しては犯罪を犯した囚人とはいえ、何だか応援したくなります。
そんなこんなで、今回はそんな脱獄囚達の奇抜な脱出アイデアを紹介したいと思います。
主な脱獄囚とその手口
白鳥由栄
まずは日本が誇る脱獄王白鳥由栄（しらとり よしえ）。
過去に色んな番組で紹介されたこともあるのでご存知の方も多いかと思う。
昭和の脱獄王との異名を取る白鳥は26年間もの服役中に何と4回の脱獄を決行というのが凄い。
有名なエピソードでは味噌汁を鉄格子や手錠に吹き掛けて、味噌に含まれる塩分で鉄をサビ付かせるというのがある。こんなムチャクチャ気の遠くなることをよく思い付いたものだ。
他にもブリキ板に釘で一直線にいくつも穴を空け、それを穴に沿って半分に折り切ることによって即席のノコギリを作成。鉄格子を切断して脱獄というのもある。
あと、よくフィクションでもある針金を加工して即席の合鍵を作製し、脱出。
…とまあざっと挙げただけでも色んな手口がわんさか。
実際にはこういった破天荒な脱獄エピソードの他にも白鳥本人のやむを得ない事情等があったりして、そんなのも含めて未だに愛される「脱獄王」たる所以なのだろう。
西川 寅吉
続く男は五寸釘寅吉こと西川 寅吉（にしかわ とらきち）。
その名の通り逃走のさなか刑務所の塀を飛び降りた際に五寸釘を踏み抜いてしまい、その激痛に耐えてそのまま12kmもの距離を逃げおおせたエピソードに由来する。
異名が先走る人物だが、実際の手口としてはまず野外作業の時に畑で湿った柔らかい土をこっそり隠し持つ。
そしてその土をスキを見て看守の持つ鍵に押し当てて型を取る。便箋用の和紙をより合わせて先程の型に沿ってはめ、本物そっくりの鍵を作る。だが、所詮紙のためこれでは強度が足りない。
そこで、足りない硬さは食事の米粒を残し根気良く練り合わせたもので和紙の鍵を塗り固める。
仕上げに表面にくすねた菜種油を塗りつけ鍵を完成させ、手錠と足枷の鍵を外して見事脱獄。
この辺の「あり合せのモノ」で道具を作って脱出というのは、往年の海外ドラマ「冒険野郎マクガイバー」に通ずるものがある（もちろんマクガイバーも大好きです）。
ちなみに白鳥と西川の二人はある共通点があり、それは二人が並外れた体力の持ち主ということである。奇抜なアイデアに加えて常人ではあり得ない身体能力を以ってして脱獄を成功させているのである。
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ここまでは日本人の脱獄囚を照会してきましたが、海外勢も負けてはいない。
ロイ・ハーパー
脱獄の常習犯で、隣の独房にいた凶悪犯ジョン・ウーランドと共にアメリカのコロラド州にある世界最高レベルの厳重警備を誇る刑務所「スーパーマックス」からの脱獄を成功させる。
その偉業から21世紀の脱獄王とも称される。
何が凄いかというと、常時24時間の完全監視下の中、1日たった15分という警備の穴を突いた時間を確保してその時間を脱出ルートを作る作業に充て、見事脱獄に成功したということ。
具体的には窓枠のネジを外したり壁を繰り抜いたりといった単純作業ではあるが、1日15分しか確保できないのであればそれも困難なはず。
それをやってのけたというのは見事というほかは無い。
ランス・バトリアル
マークとチャーリーという２人の男と協力してアメリカ・インディアナ州立刑務所を脱獄。
手段は看守の腰にぶら下げている鍵に糊とベビーパウダーで作った固形物を押し当て型を取り、それにロウを垂らして固めたモノを作業に使う金属に写す。
鍵の複製を作る発想を思いつくあたり前述の西川寅吉を髣髴とさせるが、その金属を鍵の形になるよう丸二日削り続けるという根気がこれまた凄い。
その鍵を使って地下へ続くドアを開け、トンネルを掘って排水溝からの脱出を成功させる。
脱獄の理由は、ガンで余命僅かな父親にひと目会いたいという極めて純粋なものだったというのが泣ける。
脱獄…その後
上記の脱獄囚4名だが、実はそのまま逃げおおせた者は皆無で、誰もが1ヶ月以内に再逮捕されている。
そう、現実問題刑務所からの脱出まではできてもその後の逃走ルートや資金、身を隠す場所の確保が難しく、結局捕まってしまうのである。
刑務所に収監されているようなヤツが大した金を持っているワケは無く、とにかくカネのかかる逃亡生活には協力者が不可欠なのだ。
なんせ脱獄した時点で指名手配犯として全国に顔と名が知れ渡ってしまうため、ロクな職にも就けずカネに困るのは目に見えている。
ちなみにアメリカでは国境を越えてメキシコに入国してしまえばとりあえず連邦警察は手が出せないので安心ということで、脱獄犯はいかに国境を抜けるかがカギとなる。当然、国もそれなりに警戒しており、警備も厳しくなっているという。
まぁトランプ大統領は逆にメキシコ人のアメリカへの不法入国を警戒してるけどね。
誰だったかは忘れたが、アメリカの刑務所を脱獄した後に無事メキシコに逃れた一人の男がいた。
彼はそこで身分を隠して働き、新しくできた恋人とコツコツ資金を溜めて数年後、ついにレンタルビデオショップを経営するまでに至る。
ほどなくして店は軌道に乗り順風満帆に行くと思われたが、ひょんなコトから身元がバレ、結局捕まってしまう…。
脱獄後数年も経過すればもう大丈夫と思われがちだが、逃走犯である以上何が原因で逮捕に至るかは分からない。
常に周囲を警戒し、警察に怯えながら過ごすというのは想像を絶する。いっときも神経が休まる時が無いだろう。
やっぱり普通に暮らすのが一番だと思うこの頃でした。
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